予備調査って?②
皆さん、こんにちは。JMDCの寺島です。
夏の猛暑はどこへ行ってしまったのか、一気に季節が進み、過ごしやすい気候とともに冬に向かっていることを感じさせる日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私は先日4日目のコロナのワクチン接種をしてきました。これまで、3回モデルナで今回初めてファイザー製を接種しました(会社名を出していいかどうか不安ですが、一般名称のようになっているので)。3回目までと同様にきっちりと副反応が出て、接種48時間後には普通に戻っていました。こうした反応がワクチン接種後の儀式になりつつあるなと感じております。
さて、前回からデータベース研究の取り組みにおける予備調査についてお話を始めましたが、今日はその2回目です。
予備調査としてどんな情報を取得するのか
一般的にデータベース研究の場合、コホート研究としてデザインするケースが多いと思われます。JMDCデータの保険者データベースと呼ばれるデータは患者の追跡性という観点から、コホート研究で用いられやすいデータです。このコラムでも取り上げていますが、追跡性があると言っても、ある患者を何十年と追跡できわけではありません。そのため、まずは対象とする人たちがどの程度観察できるのかということも予備調査として行う内容の一つです。とはいえ、こうした調査はデータにアクセスしないと実施できないので、やはりデータベンダーがどこまで対応してくれるところかは気になるところですね。
また、観察期間を捉えるだけでは十分ではありません。私自身、予備調査で大事だと思う点は、研究対象者を適切に取得することができるかを検討することは重要だと考えています。例えば、ある薬剤を曝露されている人ということであれば、薬剤投与されている人を抽出すれば済むので、データベース上に何人いるのかという確認で済みます。ただ、研究テーマはさまざまです。●●病という人を対象にしたい。●●病で△△△の人を対象にするなどがあるかと思います。シンプルにデータベース上にあるコードをそのまま使うということもあるかと思います(例:糖尿病患者を対象にする→ICD10コードE10-E14:糖尿病)。ご承知のとおり、情報源はレセプトデータですので、データベース上にある情報の確からしさという点の検討はよく議論されるところです。単純なコードで定義をしてしまうと、さまざまなノイズが入っていることになり、研究対象集団もいろいろな特性をもってしまう可能性があるということになります。それにより出てきた結果はというと、臨床的にどのような患者の状態を評価したものなのかというのがわかりにくくなってしまうものになりかねません。そこで、事前にデータで取得できる対象集団というのがどういうものなのか、自分たちの研究で取得したい対象者が把握できるのかどうかという検討が必要になるということになります。
あくまでも個人的な考えですが、レセプトデータを使っているので、そのデータの特性に合わせた考え方をすればよいと思うところもあります。患者像を明確に捉えきれないのはデータの限界点でもあり、本来はそうした中で議論すべきかなと思うのですが、なかなかそうはいかないケースもあるようで、、、正直なところ前向き研究でやった方がいいのになと思うこともあります。
予備調査のアプローチ①
予備調査は必ずしもこうするというルールがあるわけではないですし、これをやるべきということも決まってはいません。どんな研究をやるか、その内容によって、検討すべきことが変わってきますので、随時、私たちにもご相談をいただければと思います。
せっかくですので事例をいくつかお示ししてみたいと思います。ひとつは、何かしらの条件で集団を決めて、背景情報や観察期間などを取得してみるという内容です。ともすれば、すでにこれで研究が成立するようなこともあるかもしれませんが、こうした情報収集は研究を立案、実施する上では重要なアプローチになるかと思います。
図1
図2
図3
こうした情報を取得することで、そもそも研究対象とする人が適切に取得できるのかなど検討をすることができます。ただし、ここで気を付けなければならないことは、この検討を重ねることで、自分たちに都合のいい集団を作ってしまうことです。それを防ぐためにもどんな条件で集団を構成しているのかをきちんと公表し、再現性を担保することで、研究の信頼性や公平性を担保することも重要なことになるかとも思います。
考えるポイントやプロセスの違いなと取り組み方にも注意が必要かなと思います。
次回は、少しペイシェントジャーニーを知るきっかけのような事例のお話をして、予備調査のお話の続きをしたいと思います。
お問い合わせはこちら:E-mail gterashima@jmdc.co.jp
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