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コラム

企業主導研究のスタイルを考える



 皆さん、こんにちは。JMDCの寺島です。

 少しこのコラムをお休みしていましたが、久しぶりに書いています。今年は梅雨が短く、あっという間に夏になってしまいましたね。コロナ対策も重要ですが、熱中症対策も実はとても大事なのかなと思っています。

先日、ある大学で学生向けに講演をする機会がありました。『リアルワールドデータ』をキーワードにお話をさせていただきましたが、とても気づきの多い時間となりました。というのも、普段は、医療や製薬系の仕事をされている方に向けてお話させていただくのですが、今回は90分という限られた時間で、RWDを知らない人にお話しさせていただき、話す難しさを痛感した次第です。一般の方でもわかりやすいコンテンツを準備しないといけないと思い、非常に勉強になり、貴重な機会となりました。


 さて、最近は、JMDCデータを用いた研究支援の件数が増えてきました。さまざまな企業さん、ご担当者の方とご一緒する機会が増えてきています。今回は、「企業主導で研究を企画、実施する」ということについて少し考えてみたいと思います。



『企業主導研究におけるさまざまなプロセスと見えないステークホルダーの存在』

 一昨年くらいのウェビナーにおいて、私はこんなスライド作っていました。



 企業主導研究となると社内の実施手順や部門内だけでなく他部門やグローバルのレビューがあります。そこに参画している人たちがすべて理解をしているわけではないのでさまざまな意見が出てきて、なかなか前に進めることができないことがよくあります。ともすれば、研究コンセプトがひっくり返ったり、研究実施自体の見直しが発生したりとさまざまな「事件」が発生しています。私たちも一昔前は経験も少なく、こうした「事件」に巻き込まれ、担当者と悩んだり、戦ったり(!)したものですが、最近はできるだけ「事件」が起こらないようにする努力を私たちなりにするようになっています(笑)。

 企業の皆さんと実施する際に気を付けていることというと以下の点があるのかなと思っています。(これを読んでいるのは製薬企業の方もいるので、こんなこと書いてはいけないかもしれないのですが。。。)





『企業担当者の熱意とプロジェクトマネジメント力』

 研究を進める上でのプロセスも気にしないといけないところですが、もう一つ、担当者の「思い」というのも、研究を進める中でとても重要だと思います。どんなプロジェクトもそうだと思いますが、企画立案者がいると思います。この人の存在も重要です。とはいえ、その企画がどういう背景で実施されることになったのかによって、恐らく担当者の「思い」が変わってくるのではないでしょうか。医学系研究の場合、臨床現場インサイトにより企画を立案したものであれば、その担当者の熱意があふれるものとなるでしょうし、製品の戦略上で実施する、チームとしてやらないといけないとなれば、前者とは違う「思い」となるかと思います。

 そして、さまざまな「思い」や「熱意」だけでは研究を進めることはできないと思います。当たり前かもしれませんが、「プロジェクトマネジメント」という力もとても重要だと感じています。企業主導研究の場合、さまざまな役割の人が入りチームとして研究を実施していくことが多いかと思います。例えば、計画書を作成する場合。メンバーがレビューし、必要に応じて相談をすることになるのですが、それをどのように進め、方向性をまとめていくようにするのか、とても重要になります。私たちは支援する立場なので、最終的な判断をすることはできません。とはいえ、やり取りをみていると、こちら側で判断をしないといけないの?というようなこともよくありがちです。私たちを交えての相談の場を設けていただけるのはありがたいことではあるので、最近では、事前に私たちの関わり方をどうするかも相談して、プロジェクトを進めることもあります。「熱意」だけではなく、「プロジェクトを進める力」も当たり前に重要なことなのです。


『KOLとどう接するのか』

 研究を進める上で、KOLの存在は重要です。そもそも研究のきっかけを作り、研究の中で重要なアドバイスをもらい、論文にするときには共著になってもらう、研究を進める上では欠かさない存在です。しかし、この一連のプロセスもとても難しいものです。企業主導研究である以上、実施の裏側には企業側の戦略もあります。一方で、臨床的に意味あるエビデンスということも気にしないといけません。アドバイスをもらう先生も何かしらの思いをもって研究に協力してくれている、企業側の思惑とKOLの思惑をどのように一致させていくか、共有していくか、簡単なようで難しいと思います。

 KOLとどういうタイミングで相談すべきか、どういう立場で入ってもらうのか、研究によっても異なりますし、企業側のKOLマネジメントからしてもさまざまだと思います。意外なところで論点が出てきたり、相談するたびに異なることを言われるなど、KOLの意見を大事しないといけない製薬企業の立場からすると対応が難しいケースもあるかと思います。

 ただ、そうしたケースにおいても、KOLも研究を一緒にやっているチームメンバーという考えを持つことは重要ではないでしょうか。「誰のための研究なのか」こうした考えをもつことはとても大切なことではないでしょうか。


『研究は誰のためにやっているのか』

 一昔前は、データベースで何かをやってみたいということで、研究を企画されるケースがありましたが、さすがに最近は減ってきています。企業主導の研究なので、やはり企画側の思惑も当然ながら研究の中身に反映されてくることもあるかと思います。研究により生み出されるエビデンスというのは何を期待しているのか、研究内容がごちゃごちゃし始めたら、一度原点に戻って整理してみるのは大事なのかもしれませんね。

 きっと、それは、自分の評価のため? KOLのため? いいえ、作られたエビデンスは病気で苦しむ患者さんのための「医療」の一部になるというところは忘れてはいけないのではないでしょうか。





お問い合わせはこちら:E-mail gterashima@jmdc.co.jp



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