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④ レセプトデータとは

 レセプトとは、簡単に言うなら「医療費のレシートのようなもの」です。診療報酬明細書とも言います。患者ごと、診療月ごとに、入院・外来・調剤の項目別に診療報酬の内容が詳しく記載され、誰に、いつ、どのような診療が行われたのかを把握できるようになっています。


■レセプトの目的


 こちらの記事にもあるように、われわれ国民は何らかの公的医療保険に加入して「健康保険料」を支払い、お互いの医療費を支え合う仕組み(国民皆保険制度)が成り立っています。保険診療においては、基本的には患者自己負担が3割、保険者(=保険証の発行元)負担が7割となっています。医療機関がサービスの対価10割をすべて受け取るためには、患者以外にも保険者に対して残りの7割を請求する必要があります。このように医療機関が医療費の7割を受け取るために必要なものがレセプトとなるわけです。



■レセプト発行~支払いまでのプロセス


 それでは次に、レセプト発行から医療機関へ診療報酬が支払われるまでのプロセスを見ていきましょう。ここで関係するのは患者、医療機関、審査支払機関、保険者です。審査支払機関については聞き慣れないかもしれませんが、医療機関が提出したレセプトを定められたルール通りに正しく算定されているか、患者の症状に対して正しい診療項目が記載されているかなどが細かく審査する機関のことです。


 支払いまでのプロセスは下記の通りです。

  1. 患者が医療機関を受診し、医療機関に3割分の医療費を支払う

  2. 医療機関がレセプトを作成し審査支払機関へ提出

  3. 審査支払機関が提出されたレセプトに不備が無いかをチェック

  4. 3.が問題なければ審査支払機関が保険者へ医療費の7割分を請求

  5. 保険者でも同様にレセプトをチェック

  6. 5.が問題なければ審査支払機関を通じて医療機関へ診療報酬が支払われる

ただし3.の段階で不備があった場合はレセプトが不適切と判断され、本来支払われるはずであった診療報酬が減額されたり、レセプトが医療機関へ戻される(返戻と言います)ケースもあります。



■レセプトの種類


 次にレセプトの種類について見ていきましょう。主なレセプトについては、医療機関から発行される医科レセプト、調剤薬局から発行される調剤レセプト、歯科から発行される歯科レセプト、DPC病院から発行されるDPCレセプトなどがあります。


① 医科レセプト

 医科入院レセプトと医科入院外レセプトの2種類があります。発行元は医療機関です。診療情報、患者情報、傷病や薬剤の情報などが記載されます。


② DPCレセプト

 DPC(Diagnosis Procedure Combination(診療群分類))に基づいた患者の臨床情報と診療行為の電子データがセットになったレセプトデータのことを指します。発行元は厚生労働省に指定された対象病院(主に急性期病院)のみとなります。医科レセプトとの違いは発行元以外に入院医療費の計算方法があります。こちらの記事にもある通り包括払い方式が適応されるため、一部を出来高払い、包括部分は「1日当たりの医療費×日数」で算出されます。


③ 調剤レセプト

 調剤薬局から発行されるレセプトのことです。調剤された薬剤の情報や処方元の情報、患者さんの情報が記載されます。医科レセプトと違い、患者さんの傷病についての情報は入っていません。一方で、医科レセプトには無い、処方を行った医師名についての情報が含まれています。また、調剤レセプトに含まれるのは院外処方の情報になるため、病院内で処方された薬剤の情報は含まれません。


④ 歯科レセプト

 歯科医院から発行されるレセプトのことです。上記レセプトと同様に治療費の保険負担額を請求するために必要となります。レセプトに記載される点数は①~③と違い、歯科診療報酬特有の点数から算出されます。

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